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太陽光発電業者の倒産と影響

太陽光バブルと言われていた時期が過ぎ、その後、多くの太陽光発電関連業者が倒産しました。倒産した業者は販売店だけにとどまらず、海外メーカーも倒産の憂き目にあっています。

 

販売店は、自宅に設置した太陽光発電の直接の窓口なので、万一不具合等があった時にどこに連絡すればよいのか戸惑ってしまいます。

 

ここでは、太陽光発電の導入を検討している方が少しでも安心して設置できるよう、倒産した太陽光発電関連業者のデータをもとに傾向を分析、有効な対策を解説します。

 

太陽光発電関連の業者・メーカーの倒産や破産が急増

太陽光発電大手メーカーの倒産は大きなニュースとなりますが、実はメーカー以上の勢いで施工・販売業者の倒産・破産が相次いでいます。メーカーや業者が倒産してしまうと、ユーザーにどのようなリスクがあるのか検証しました。

 

メーカー・業者それぞれの倒産には原因やリスクが異なりますので、それぞれ別物として考える必要があります。

太陽光発電関連業者の倒産推移

固定価格買い取り制度が開始し、急速に増加した太陽光発電関連の業者ですが、売電価格が下落するとともに競争に敗れた業者が次々と倒産、淘汰されていきました。

 

その結果、2018年をピークにほぼ横ばい状態が続き、2021年上半期では前年同期比で9.5%減少しています。一方で大型倒産が複数出たため、負債額は急増しました。

 

2021年1月〜6月までの太陽光発電倒産件数

(帝国データバンク:特別企画太陽光関連業者の倒産動向調査(2021年上半期)より抜粋)

 

内訳としては、小規模倒産(負債額1億円未満)が約半数を占めており、これは経営体力の乏しい業者の倒産が相変わらず多いことを示しています。半面、大規模計画の頓挫があったためか、負債10億円以上の大型倒産も5件発生しています(内3件は負債100億以上)。

 

特に2021年は、2020年に引き続き新型コロナウィルス感染拡大の影響で先行きの不透明感が強く、企業の投資意欲の後退が懸念されていました。そうなると、さらに淘汰が加速する恐れもあり、2021年度は3年ぶりに前年を上回る可能性が出ていました。(実際のデータがないため検証はできませんでした)

 

太陽光発電業者が倒産すると、施工に関する保証が全く受けられなくなります。また、資金繰りの厳しい状況の業者では、強引な契約やシミュレーション値の上乗せ、最悪前金の持ち逃げ等、リスクが非常に高くなります。

 

以下のページで

  • @倒産する業者の傾向
  • A業者が倒産した場合に考えられるリスクとトラブル
  • Bアブナイ業者につかまらないための対策

を帝国データバンクの資料からまとめました。

 

倒産しそうな業者を見極めることは困難ですが、倒産した業者の傾向と倒産に至った原因を分析し、少しでもリスクを減らす参考にして下さい。

倒産する業者の傾向

調査が開始された2006年からの2021年6月年までの累計倒産件数579件について、倒産態様資本金及び負債額倒産原因と営業年数についてまとめました。
(こちらのデータでは帝国データバンクが2021年7月12日に公表した『特別企画:太陽光関連業者の倒産動向調査(2021年上半期)』を基に作成しました。)

 

倒産態様

 

太陽光発電業者の倒産形態

 

倒産した業者の殆どが破産です。

 

破産は特別清算と違い、債権者の同意なく手続きを勧めることが出来ます。
つまり、昨日まで信用していた業者が、今日急に連絡が取れなくなり初めて倒産を知ることになる可能性も十分にありえます。

 

資本金及び負債額

資本金別にみる太陽光発電業者の倒産件数

 

資本金別では、5,000万円未満の業者の倒産が約90%を占めています。このことから、中小規模の業者の倒産が多いことが判ります。

 

太陽光発電業者の倒産は少額倒産が多い

 

中小規模の倒産が多いので、負債額は比較的少なく、5億円未満の倒産が85%を占めています。余力の少ない業者の多い状況が浮かび上がってきます。

 

倒産原因と営業年数

 

2021年1月〜6月までの太陽光発電倒産原因

 

倒産原因のわかっている579件について、その70%以上が販売不振です。

 

ついで経営計画の失敗・放漫経と続いていることから、販売不振の続く現状に加え、計画の甘さから、耐えきれずに倒産するパターンが多いことが予想されます。

 

この調査では倒産業者の営業年数も調査対象となっています。

 

太陽光発電倒産の業歴別グラフ

 

全579件で考えると5〜10年未満が最も多くなっています。次いで多いのが30年以上となり、意外に思う方が多いかもしれません。

 

これは、5〜10年未満の業者は太陽光バブル参入組、30年以上の業者は本業は別にあり、副業として太陽光発電関連事業を手掛けていた業者が多くなっています。

 

 

補足:倒産した579業者の地域別の割合

太陽光発電業者の倒産は主要都市に集中

地域別では、関東地方が群を抜いて多くなっています。

 

元々業者が多い一面もありますが、太陽光発電のブームに乗って顧客の多い主要都市で新規参入した業者が倒産していくケースが多いです。

 

 

 

 

 

太陽光発電業者の倒産が急増中!破綻する業者やメーカーの傾向とその対策

  • 破産が多い(保証がない)
  •  

  • 中小規模の業者の倒産が多い
  •  

  • 負債額はそれほど多くない
  •  

  • 主要都市に集中している
  •  

  • 太陽光発電を専門とする倒産業者は営業年数が短い

以上のことから、【太陽光バブルに乗って新規参入した、太陽光発電を専業としていてる中小規模の業者】の倒産傾向が強いことが窺えます。

業者が倒産した際のリスクとトラブル

倒産の危機にある業者に依頼した場合のリスク

  • 頭金の持ち逃げ
  •  

  • 施工補償・アフターサービスの不実施
  •  

  • 契約欲しさにシミュレーション値の上乗せやメーカー保証対象外の工事
  •  

  • 人手不足等による手抜き工事や施工不良

 

太陽光発電の設置業者に余裕が無いと、様々な問題が出てきます。

 

頭金の持ち逃げ

最も最悪のパターンです。

 

業者が倒産した場合、頭金や前金が戻ってくることはほぼ100%ありませんので、残念ですが、泣き寝入りするしかありません

 

しかし、太陽光発電では通常半額程度は前金として支払います。太陽光発電業者は一般的には前払いで部材を仕入れることが多く、ユーザーからの支払いが全額後払いでは仕入れに回す資金が苦しくなってしまうからです。

 

前金を要求されたからと言って倒産危機にある業者とは限りません。

 

非常に難しいですが、見極めが大切になってきます。

 

施工補償・アフターサービスの不実施

ムリな工事による施工トラブルがあっても、業者が倒産していては施工補償も受けられません。二重保証(業者が倒産しても保証会社が引き継いでくれる保証)の契約をしていれば別ですが、倒産危機にある業者はそこまで資金力がないでしょう。

 

また、契約欲しさに実際は実施不可能な毎年無料点検つきなど、オイシイ話を持ち出し、契約を迫る可能性もあります。当然、業者倒産後は点検が実施されることはありません。

 

契約欲しさにシミュレーション値の上乗せやメーカー保証対象外の工事

倒産危機に瀕している業者は、運転資金が逼迫しています。

 

1件でも多くの契約を取るため、実際はメリットが出ない家庭に対しシミュレーション値を上乗せしメリットがあるように見せかけるかもしれません。
設置後、「シミュレーションほど発電しない・・・」となり、いつまでたっても元が取れなくなってしまいます。

 

更に、本来は太陽光発電を設置できない状態にもかかわらず施工を強行したり、メーカの施工基準外の工事をする可能性もあります。

 

メーカーの施工基準を満たさない工事はメーカー保証すら受けられません。本来は無料で受けられる修理に自腹を切ることになります。

 

人手不足等による手抜き工事や施工不良

 

人手が足りず、時間を節約するために必要な工程を省いたり、雑な工事になる危険性があります。特に防水処理などを丁寧に行わないと雨漏りのリスクが格段に上がります。

 

その他、費用を抑えるために安い部材を使うなどをして、パネルの強度が足りずに強風等で飛散してしまうかもしれません。

 

万一飛散したパネルが他者所有の車や建物、あるいは人に被害を及ぼしたら・・・と考えると非常に恐ろしくなります。

倒産危機の業者を回避する有効な対策

他社と比べる事しか有効な対策はありません。

他社と比べることで「ちょっとおかしいぞ・・・」と気付くことが出来ます。

 

例@:設置費用が極端に安い

 

最初から工事をする気などなく、前金だけ受け取って倒産する気かもしれません。
太陽光発電システムには相場があります。相場よりも極端に安い場合はリスクも極端に高くなることを覚悟して下さい。

 

太陽光発電の最新相場はコチラで確認


 

例A:設置可能kwが明らかにおかしい

 

メーカーの施工基準を順守していない可能性があります。
メーカーでは、軒先何m空けなければならない等、施工基準が細かく決められています。基準を無視した場合、メーカー保証が受けられなくなり、不具合には実費で対処しなければならなくなります。

 

例B:シミュレーション値がずば抜けて多い

 

シミュレーション値の上乗せが懸念されます。
設置kw数と日射量を基に発電量をシミュレーションしますので、業者によってシミュレーション値が変わることはまずありません。
ただし、メーカーによって温度上昇に強い、陰に強い等の特徴はありますので、出来る限り同じメーカーでの比較をお勧めします。

 

とはいえ、太陽光発電の見積りは正直時間がかかります。近年太陽光を取り扱っている業者は増え、大型電気店やホームセンターでも見かけますが、どの業者に頼んでも見積り提示までの手順は殆ど変わりません。

 

太陽光発電の見積もりを取る手順

  1. 業者を選定し、見積りの依頼
  2. 家の図面か実際の訪問で現地確認
  3. 太陽光発電のメリットやデメリット、予想される光熱費の削減等についての説明
  4. 1〜2週間後に見積り提示のために訪問。シミュレーションを基に更に詳しい説明を受ける

 

以上、1社の見積りを取るのに@〜Cの手順を毎回繰り返す事になります。

 

一括見積もりの利用で時間と労力を軽減

太陽光発電は複数見積が必須、しかし見積りを取るには時間と労力がかかる・・・。
少しでも時間と労力を節約したい方は、一括見積もりが便利です。

 

一括見積もりを利用した場合の見積りを取る手順

  • @一括見積もりサイトに情報を入力
    予め予算や希望メーカーを入力できるので、そのメーカーに強い業者・予算内での設置が可能な業者だけに絞って依頼できます
  •  

  • A簡易見積りか訪問見積もりか選択
    簡易見積りでは図面を基に見積りを提示してもらえます。実際に現地を見ての見積りより正確性には欠けますが、おおよその目安は判ります。
    訪問見積もりでは実際の現地調査が基になるので、かなり正確なシミュレーションが期待できます。
  •  

  • B見積もり提示
    業者も「複数見積」前提なので、自社の強みを活かした提案を用意してきます。

 

Aで訪問見積もりを選択した場合は依頼した業者数だけ訪問を受けることになりますが、無理な勧誘はクレームの元になるので強引な態度に出られる心配はありません。(管理人も経験していますが、皆さん驚くほどあっさりとしていました)

 

また、同じ条件で見積り依頼をしているので比較も容易に出来ます。

 

「太陽光発電で失敗したくない」「より良い条件で導入したい」と考えている方は、一括見積もりを検討してみると良いでしょう。

 

メーカー倒産のリスクと傾向

2017年5月、ドイツの大手太陽光発電メーカー『ソーラーワールド』が経営破綻しました。

ソーラーワールドは日本ではあまり馴染みが無いかもしれませんが、40年以上の歴史のあるドイツの老舗太陽光発電メーカーで、原料からパネルの生産まで一貫管理している総合太陽光発電メーカーです。

 

2015年1月に設立されたばかりの日本法人(ソーラーワールドジャパン梶jは、5月31日をもって全業務の終了を発表し、日本で総代理店を努めていた業者はシンガポール法人(SolarWorld Asia Pacific社)と今後の協議をすすめ、一時は子会社がすべてを引き継ぐことが決定しました。

 

しかし結局その子会社も2018年6月にすべての業務を停止。その情報が日本で伝えられたのが2018年12月と、ドイツでの決定からずいぶんと時間がかかってしまったことからも現場の混乱ぶりが窺えます。

 

ソーラーワールドの倒産後の対応

 

日本への本格参入からわずか2年数カ月でのドイツ本社の倒産は、誰にも予想ができなかったのでしょうか。

 

ソーラーワールド以外でも、国産パネルとして有名な「Japan solar」(アンフィニ株式会社)が2022年に破産、破産はしていませんが2021年にはパナソニックが生産終了(委託販売は継続)など、様々なメーカーが撤退や規模の縮小を行っています。

 

メーカーの倒産は、ユーザーにとってどのようなリスクが潜み、トラブルとなるのか検証しました。

太陽光発電メーカーの倒産のリスクとトラブル

 

太陽光発電メーカーの倒産のデメリットとリスク

 

メーカー長期保証の不履行

 

太陽光発電は非常に高価なシステムで、長期間使用することでメリットを得ることが出来ます。
ユーザーが安心して使えるよう、各メーカーはそれぞれ長期保証を付けており、最低でも10年、長いメーカーでは25年間も保証期間があります。

 

とは言え、その保証はメーカーが健在であることが大前提です。メーカーがなくなってしまっては、保証はおろか、パネルが手に入らなくなり設置が出来なくなってしまう可能性もあります。

 

 

太陽光発電メーカーの倒産のデメリットとリスク

 

メンテナンスが出来ない

 

国やメーカーは、4年に1回程度のメンテナンスを推奨していて、実際のメンテナンスは、設置してくれた業者が点検してくれるケースがほとんどです。

 

仮にメーカーが倒産しても、販売設置業者が健在であれば、メンテナンスを受けることは出来ます。

 

問題は、メンテナンスで異常や不具合が見つかった場合です。
パネル以外の部材(パワコンやケーブル等)であれば、代替品が見つかるかもしれません。

 

しかし、メーカーオリジナルのパネルなどの異常となると、代替が見つからない可能性が出てきます。

  • メンテナンスを受けた。
  • 異常が発見された。
  • でも直せない・・・。

これでは安心して使うことは不可能となってしまいます。

 

太陽光発電メーカーの倒産のデメリットとリスク

 

売電ができなくなる!?

 

2017年4月に固定価格買取制度が改正され、売電する(設備認定を受ける)為には適切なメンテナンス体制が必要となっています。
通常、メーカーが健在であればメーカー保証がありますので、万一不具合が起きたときでも業者やメーカーに連絡すれば対処が可能です。

 

しかし、メーカーが倒産となってしまうと話は別。
経産省に寄せられたパブリックコメントでは以下のように回答されています。

 

 

メンテナンス体制が変更となった場合、変更申請が必要か?メーカー等が倒産しメンテナンス体制が消滅した場合、設備認定は取り消されるか?


太陽光発電メーカーの倒産で売電できなくなる可能性がある

 

メンテナンス体制が変更となった場合には変更の認定を受けることが必要です。またメーカー等が倒産しメンテナンス体制が消滅した場合には、設置者自ら又は他の者に当該メンテナンスを行う体制を整える必要があり、できない場合には認定の取消対象となりえます。


つまり、メーカー倒産=売電不可ではないが、適切なメンテナンス体制を改めて申請する必要が出てくる、ということです。適切なメンテナンス体制について言及されていませんが、一般的には故障や不具合の際に適切に対処できるかどうかだと思われます。

 

必ずしもメーカー保証である必要はありませんが、たとえ代替品でも修理や交換を行える体制を整えなくてはなりません。

 

当然、別途費用がかかることとなり、かなりの痛手になると思われます。

メーカー倒産の傾向:日本メーカーは大丈夫?

ここ数年で発表された、主な太陽光発電メーカーの倒産・破産・事業撤退の傾向です。

メーカー名 破産等の情況と対応
Qセルズ

ドイツの老舗メーカー。
2012年4月破産申請。同年、韓国ハンファグループ(韓国大手10大企業の1つ)が買収し、ハンファQセルズとしてQセルズブランドを継続したが、製造はドイツ国内ではなくアジアが中心となる。2015年にはハンファソーラーワンとハンファQセルズを合併し、本社を韓国に移している。
Qセルズブランドが継続しているため、販売やメーカー長期保証、メンテナンス等も継続。

サンテックパワー

中国のメーカー。2013年3月に破産手続開始。パネル製造子会社の無錫サンテックパワーの債務不履行が決定的となった。サンテックパワーホールディングスは解体、江蘇順風(中国)からの出資を受け、子会社となる、サンテックブランドは継続。
サンテックブランドが継続したため、販売やメーカー長期保証、メンテナンス等も継続中。

 

ホンダソルテック

日本のHONDAの100%出資子会社。
2014年春に事業撤退・解散。
2014年2月には受注終了し、春には販売も完全に終了している。
メーカー保証は関係会社である「ホンダ開発」が引き継ぐことを同時に発表していたため、大きな混乱もなかった。
現在も「ホンダ開発」で同様のサービスが引き続き提供されている。

 

今までのメーカー倒産の傾向を見ると、2つのパターンを読み取ることが出来ます。

 

太陽光発電メーカーが倒産した後のパターン

 

パターン@

 

太陽光発電専門のメーカーが倒産
太陽光発電メーカーの倒産と傾向パターン
他総合商社が出資や買収
太陽光発電メーカーの倒産と傾向パターン
太陽光発電システムのブランドが残り、保証等も継続するが元々の企業理念やコンセプトにブレが出る

太陽光発電メーカーが倒産した後のパターン

 

パターンA

 

 

太陽光発電以外も扱っているメーカーが倒産
太陽光発電メーカーの倒産と傾向パターン
グループ企業が引き続き保証等を約束
太陽光発電メーカーの倒産と傾向パターン
パネル等のブランドは残らないが混乱も起きない

 

こうしてみてみると、海外メーカーか日本メーカーかよりも、専門メーカーかどうかで対応が分かれていることが窺えます。

 

また、海外メーカーの方が一般的にはリスクが高く感じますが、受け皿がしっかりしていれば保証も続く可能性が高いです。

 

日本のメーカーは大丈夫?

日本のメーカーは倒産しないとは言い切れません。

不透明な会計が明るみになった東芝や、鴻海(台湾)に買収されたシャープなど、常に危険は孕んでいるといえます。

 

とはいえ、日本の太陽光発電メーカーは、太陽光のみを専門にしているところはなく、大手以外のメーカーでも複合企業となっています。
このことから、万一の際の保証の受け皿は確保されていると考えて大丈夫だと思われます。

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