メリットの減った太陽光発電は売却できるか
改正FIT法が施行され、産業用太陽光発電は大きな岐路に立たされました。当初の計画とは随分狂ってしまった方も多いのではないでしょうか。
メンテナンスの義務化等があり、予定よりも維持費がかかってしまうことで発電を続けるよりも売却してしまうほうがメリットが出ることもあります。産業用の太陽光発電を売却する際の注意点や、家庭用の太陽光発電(屋根上)の売却についてをまとめました。
改正FIT法の主な変更点
- メンテナンスの義務化
- 事業計画書の必須化
- 計画遅れにはペナルティ(固定期間の短縮)が課せられる
メンテナンスが義務化され、維持費が予定より多く必要になったり、発電計画が予定よりも遅れた場合は固定価格の売電期間が月単位で短縮されたりします。
家庭用の太陽光発電では、メンテナンスは販売店が請け負うことが多く、手続きも業者が代行してくれます。また、意図的に発電を遅らせることもまずありえないので、大きな変更点やデメリットはないといえます。
一方産業用ではメンテナンスの義務化は維持費に直結しますし、固定期間の短縮は収益を直撃します。それでも売電できればまだ利益が出る可能性がありますが、場合によっては売電権利の消失の可能性もありますので、今後の手続きには注意が必要です。
手続きが煩雑になり、当初の計画ほどの利益が見込めなくなってしまった太陽光発電は、一括で売却した方がメリットが出るかもしれません。
太陽光発電の売却とは?
太陽光発電の売却は、当然ですが家庭用と産業用では異なります。それぞれに分けて解説します。
家庭用太陽光発電の場合
一般の太陽光発電は屋根上にあり、その家に合わせて回線等が引かれているので、太陽光発電のみの売却は難しいでしょう。
ただし、家屋を売却する際には太陽光発電設置家庭は『付加価値あり』となり、通常よりも高い価格で売却できる可能性が高くなります。
実際に、2015年に米国のエネルギー省傘下の研究所で行われた調査では1kwあたり約4,000ドル程度のプレミアが付いたと報告があります。
(調査レポートはこちら(英文))
ただし、このプレミア価値は設置kw数や設置時期はもちろん、地域の電気料金にも影響を受ける事、更に調査時よりも初期費用が下がってきていることから、実際にはこれほど高くはならないと予想されます。
とはいえ、3〜4kw程度の太陽光発電が載っていて、更に太陽光発電の使用年数が少なければ、同程度の家屋と比較して数10万円以上の上乗せが期待できます。
産業用太陽光発電の場合
産業用太陽光発電の場合、太陽光発電単体で売却対象と出来ます。
野立てタイプはもちろんのこと、10kw以上の全量買取の太陽光発電であれば工場やマンション等の屋根上に設置されていても売却は可能です。
また、野立てタイプの場合は、土地は賃借契約で売却先に貸し、太陽光発電のみ売却も出来ます。この場合は賃借料も得ることが出来るので、太陽光発電を売却した一括の利益+賃借契約期間の長期的な利益の2つが得られます。
売電という長期的な収益を手放すことになりますが、高い価格で太陽光発電設備が売約できれば、充分にメリットがあると思われます。
産業用太陽光発電の売却のメリット・デメリット・注意点
- 一括見積もりサイトに物件の所在地や発電規模、経過年数等を記入
- 購入希望企業から査定金額等の連絡がある(可能ならば現地訪問をしてもらったほうが確実)
- 査定金額・実績等で納得のいく業者社を選定
- 一括見積もりの利用はもちろん完全無料。1〜5分程度で複数社に見積り依頼が出来ます。
改正FIT法では、事業計画の提出が必要です。
この手続は既に売電を開始している太陽光発電も対象となり、この手続をしなければ売電ができなくなる可能性もあるので注意が必要です。また、発電規模によっては標識やフェンスの設置も求められます。
改正FIT法ではメンテナンス契約が必要となり、維持費の見直しが迫られます。当初計画していた程の利益が得られないかもしれません。
グリーン投資減税や生産性向上設備投資促進税制(中小企業経営強化税制)を利用した後の太陽光発電でも売却可能です。
投資として太陽光発電を所有している方は、常に新しい投資先をリサーチしていることと思います。太陽光発電設備を現金化することで、新しい事業や投資に資金を回せます。
太陽光発電設備を手放すので、当然今後は売電での収益がなくなります。
売却額の決定には様々な条件がありますが、主に売電の実績や損益、利回りが主に考慮されて金額が査定されます。
その他、例えばメンテナンスや修繕の記録があり、設備に不安がない事が証明されれば評価が高くなりますし、逆に20年間固定のメンテナンス契約をしていると、購入先が自由にメンテナンス業者を選定出来ないため、売却しにくくなるかもしれません。
早ければ数週間で売却先が決まることもありますが、なかなか条件が遭わず数ヶ月決まらないこともあります
売却先を探すのに、直接買主を探す方法と、仲介業者を探す方法とありますが、いずれにしてもご自身だけで探すには大変な労力がかかります。
その際にマッチング業者を利用すると思いますが、経験不足の業者ではマッチング能力や書類作成等の手続きに不安が残ります。
少しでも納得のいく価格で太陽光発電を売却するには、良いマッチング業者に依頼することが最大のポイントとなります。
注意点
売却の目的が一括収入である以上、最も注意すべき点はいくらで売れるかですが、太陽光発電の売却の相場は日照条件や売電の実績、太陽光発電の設備の状態等によって大きく変わります。
さらに、交渉する業者が今後どうするか(売電を続けるのか、転売するのか等)によっても査定額は違ってきます。設置するときよりもさらに価格が不透明なので、いくらで売れるのかは査定してみないとわかりません。
不動産や車が、売却する時に複数の業者に査定を依頼して初めてその物の相場がわかるように、太陽光発電も査定を依頼して初めてご自身の物件の相場がわかります。
売却をお考えの方は、少なくとも1度は一括見積もりをしてご自身の太陽光発電の相場を確認することをお勧めします。
太陽光発電売却の一括見積もり方法
太陽光発電の一括査定が出来るサイト
売却の一括査定を扱っているサイトはまだ多くありません。一例を挙げてみましたので、参考にしてください。
太陽光発電の有名サイト「タイナビ」の姉妹サイトで、査定依頼にはパネルメーカーの他、土地の契約形態や購入時の資金についてなど、記入項目はチョット多め。
売却希望時期も選択できるので、じっくり検討したい方にはおすすめです。